そのノートには、コース図が丁寧にのり付けされ、ライン取りやキーとなるポイント、
誰かのアドバイスと思われるコメントまでびっしり書き込まれていた。
その中の一つの言葉にふと目が止まった。
「熱くなりすぎるな!」
恐らく、自分に向けた言葉なのだろうが、まるで彼からのメッセージのようにも感じられた。
自分は今、桶川に向けタイヤを新調しようと考えている。
当初は、今年の車検を通すためだけに安いアジアンタイヤでも買おうと思っていた。
彼が最後に選んだ同じ銘柄を検討し始めたのは、一時の感情に流されているだけなのか?
彼と同じクラスにエントリーしようとするのも...競技復帰さえも...
自問自答は今も続く。
「頑張る」のと、「無理をする」のは違う。分かっているつもりだ。
仕事や生活だってある。一時の感情に任せ、熱くなりすぎてはいけない。
しかし、ここのところの自分は、「頑張る」ことすら忘れていたんじゃないか?
まだできるのに、言い訳をしてそこから逃げていただけなのかもしれない。
今、自分の中で何かが変わろうとしている。
ときには、「熱さ」があってもいいんじゃないか?
彼は人一倍研究熱心な努力家だった。
本数制限のない某練習会では、皆が疲れて帰り支度を始めても、走行時間が許す限り、
彼のクルマはスタートラインの車列に並んでいた。
ご両親の希望もあり、実は今、有志の横田仲間でこのクルマを走らせることを計画している。
まずは、その練習会で。次は桶川で。
先週の日曜日に集まったのは、その準備のためでもあった。
サーキット用の足回りをジムカーナ用に戻し、助手席に積まれたままになっていた新品タイヤを履かせた。
(彼は袖ヶ浦のライセンスも取っていた)
天気がよかったので、洗車もした。きっと彼が"やりたかったこと"を皆で想像しながら作業を進めた。
そして、愛車AW11を手放し、ジムカーナから遠退いていた"あの人"が彼のクルマで桶川を走ることを決めた。
「熱さ」を取り戻した人がここにも一人。
彼の熱い思いは、今色々な人を動かし始めている。
(neco)
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